21世紀になった現在も世界では、多くの超能力者や霊能力者、あるいは占い師といった人々が活躍している。マスコミにでるのはごく一部で、市井には遙かに多くの「能力者」が存在する。これらは太古の昔から存在したが、科学技術がこれだけ発達しただけでなく、その科学者の多くに否定されている現在もなお絶滅していない。むしろ、つねに一定の割合で存在すると言ったほうが的を射ているようだ。
 ところで、これらの超能力者と霊能者、占い師にはどんな違いがあるのだろうか。占星術などの独自の法則を使う占い師はさておいて、霊能者と超能力者には違いがあるのだろうか。たとえば宜保愛子は霊能者であったし、ユリ・ゲラーは超能力者である。宜保愛子は霊の力を借りていたが、ユリ・ゲラーは宇宙人から超能力をもらったと語っている。
 このように呼び方が違えども、実のところ、ほとんど差がないといえる。とりわけ、透視や予知といった能力では両者は、全く違いはないように見える。傾向を敢えて上げるとするなら、伝統的な価値観を好んで、霊が見えるのが霊能者であるようだ。ちなみに霊能者は女性の比率が多く、「自称」超能力者は男性に多いような印象を受ける。
 しかし、重要なのは、超能力者の少なくない人間が霊のことを語っていない点である。例えば最近日本のテレビで活躍しているマクモニーグルが最近の「ムー」のインタビューの中で面白いことを言っているが、これを超能力者の一つの典型例として取り上げたい。



 マクモニーグルは、若い頃にアメリカ軍に入り、ベトナム戦争に従軍した。そこで、数々のオカルト的な危機回避能力を示し、「マクモニーグルと一緒にいれば死なない」と呼ばれた。その評判を軍の上層部が聞き、軍お抱えのサイキック部隊を編成したスターゲート計画にスカウトされる。そこで数々の透視を成し遂げたが、とりわけ核物質の透視に能力を発揮した。マクモニーグル曰く、核物質は特別なものを放っており、探知しやすいということである。(その後、スターゲート計画は打ち切りになり、マクモニーグルはお払い箱になった)。マクモニーグルは予知能力も持っており、近いうちに1、2年以内にイランか北朝鮮で、核物質の飛散を含めた意味での広義の核戦争が起こると予言している。
 注目すべき点は、透視だけでなく予知もできる、戦場で死ににくい、核物質が良く探知できる、霊については特に言及していない、である。
 とりわけ、霊について特に言っていないのは、霊などの概念が本当に必要なのかという疑念を呼び起さずにはいられない。他の点については、後にまた取り上げるつもりである。
 現在のオカルトの文献や記録を見ると霊、宇宙人、聖書などが混然一体となっていることが非常に多い。実例として、私の読書メモから取り上げる。





◎2002年▼月×○日 『ガルフブリーズ6 運命の予言』
 バンズ・デービス+ブライアン・ブラショー著 学研ムーブックス(1995)
 話の主人公がライターと組んで書いた本である。
 ドイツの基地で情報部門に勤務していた6人のアメリカ兵がウィジャ盤をしていて、そこに現れた奇妙な霊たちに導かれて、軍を脱走してしまう。挙げ句の果てにFBIに逮捕され、人生が滅茶苦茶になるという、典型的にウィジャ盤(西洋版コックリさん)に騙された話である。もちろん、騙された本人達にはウィジャ盤が示した人類を救う大仕事にたいそう未練があり、完全に騙されたと思っていないようである。
 コックリさんなどではよくある話だが、ウィジャ盤が摩訶不思議な力で示した、当人たちの家族関係や個人的な情報、さらには近未来の予言、脱走直前起こったイランの地震湾岸戦争などはズバリと当たっていた。だから、霊の妄言を信じて、軍を脱走したのである。しかし、長期的な予言はほとんど当たらないし、彼らが救世主になるという話も実現しないのは、いつものお約束である。霊達は宇宙人と政府の密約の話、聖書の話もするところが、やはりオカルト。しかし、教訓としては面白い。
 ちなみにジャック・ヴァレーの『ひとはなぜ、エイリアン神話を求めるのか』には、この事件に関する見解が載っている。イラククウェート侵攻の前に湾岸戦争の勃発を知っていたことなどから、情報部門に働いていた彼らを政府の情報部門の一部が利用した、陰謀くさいというのだ。しかし、これは深読みしすぎだろう。そんなことをして、情報部門に一体どんな利点があったのだろうか。また、彼らは現実に人生を棒に振っているのだから、彼らにはそれに載せられる利点がない。これは本の言葉通り、単純に予言が当たったのだと考えるべきだ。(終わり)



 この例でもわかるように、現在のオカルト関係の文献では何でもごった煮になって出てくる。そして、忘れてはならないのは、たとえばイランの地震が明確に予知されていたことである。家族関係や友人関係の事なら、色々な方法で調べることができるが、予知はできない。本書の主人公ガルフブリーズ6の面々は、「軍情報部の無許可脱走」というとんでもないウィジャ盤の命令を信じるために、何か確証を求めたのである。その結果がイラン地震(や湾岸戦争)の予言となって現れた。それは現実に起こり、彼らはウィジャ盤を信じ集団で従ったのである。
 超常現象を頭から否定する人は、このような事を一貫して無視する。湾岸戦争の予言は、ジャック・ヴァレーがいうように彼らが軍の情報部にいたので分かったのかも知れないが、イランの地震は分かるはずがない。このガルフブリーズ事件は、軍情報部が絡んでいたので大事になって表面化したが、ウィジャ盤は欧米では広く使われている。日本でもコックリさんがある。似たことが、常に起こったとしても不思議はない。いやむしろ起こっていると考えるべきだろう。



 マスコミに現れないが、日常での予知は頻発しており、とても偶然や思いこみ、詐欺では説明しきれないのではないのかというのが私の意見である。無視するのではなくて、説明が必要だというのがこのブログの趣旨である。