穴埋め的に紹介する。
 以下の著者たちは、奇才の数学者ペンローズが好きであり、日本の学会では相手にもされていない、彼の説を積極的に日本に紹介している。だがペンローズは、あくまで今のところジョセフソンとは違っていてオカルティストとは言えない。重力理論、量子力学の波束の収束と、一見何ら関係もない意識を強引に結びつけた説を出している奇才の科学者である。ペンローズは脳が細胞内微小管を素子とする量子コンピューターだと考えている。
 ただ、ペンローズは奇妙な説が好きで思いつきもどんどん発表するタイプだから、そのうち本当のオカルティストになるかもしれない。50歳を越えると誰でも思考計算スピードが落ちてきて数理研究はできなくなるのが普通だから、ペンローズが彼のツイスター理論や奇妙な量子重力理論を、もはや発展させる能力を失っていると考えらえるからだ。



◎1997年☆月×日 『トンデモ科学の世界』竹内薫茂木健一郎 徳間書房1995
 翻訳等で活躍している少し変わった科学者たちの本。教科書的科学ではなく、異端の科学も積極的に取り上げて行こうという姿勢の本である。まあ、いろいろ書いてあって参考になる。
 しかし、茂木健一郎の担当の脳と意識の関係の部分には、どうも違和感が残る。彼は脳から意識が出来るとは考えておらず、異端派の立場から正当学説や異端の学説を切っている。だが、彼の支持する学説のもつ矛盾や欠点については無自覚としか言いようがない。特に意識が脳の機能と一致しないとなると、下等生物のどの程度から意識があるのか、チンパンジーは当然として、ネコ、コイ、タコ、ゴキブリ、ゾウリムシ、バクテリアや植物にもあるのかは不明だ。また、より脳細胞が多いほど高い意識レベルを持つことと矛盾しないのかなど、あまり生物界の多様性との整合性を考えていない。これは彼が物理学者だからだろう。彼は意識の「クオリア」を重視しているが、ゴキブリの意識の「クリオリ」線虫の意識の「クリオリ」についてなぜ考えないのだろうか。彼自身、心は物理現象だとしているのに、現象学を重視したり、なぜ生理学を基板とする正当派に文句を付けるのかいろいろ分からないことが多い。やはり異端の説は穴だらけだ。(終わり)



 この本はトンデモ本のパクリで名が付いている。