歴史を見れば、オカルティストで成功するのは、宗教家、物書き、見せ物、人生相談などの、騙されやすい人々を相手にする場合のみである。全く信じない人々もいる社会で魔力や超能力などの特異能力のみを使って成功することは歴史上なかったといえる。もちろん、他の普通の能力も十分にあって、かつ副次的に霊能力の類もあったらしい場合は除く。このような場合、決定的な状況で特異的に能力が働くようだ。いわばたまに働くフロッグとしてのみ重要である。
 20世紀前半の魔術師として有名なアレイスター・クロリーも、全く社会的に成功できなかった。彼の同士や弟子たちも全く同じである。彼の日記を上げておく。


○1999年8月26日 『アレイスター・クロウリーの魔術日記』
 伝説的魔術師『アレイスター・クロウリーの魔術日記』国書刊行会(1997)を読む。ヘブライ語や天体、正座のマーク、ギリシャ語などの、変な記号と数式が大した脈絡もなく並んでいる。珍奇としか言いようがない。別に奇跡が頻発しているわけでもないし、ただの失敗した退廃的オカルト芸術家という感じである。